院長のコラム
糖尿病クリニックの理由
前回の続きになります。
私は、愛媛大学医学部卒業后、愛媛大学の第一外科に入局しました。
外科に入る医師は手術好きと云われるようですが、私自身は手術にはあまり興味がありませんでした。
そんな私が何故外科を選んだかというと、当時の第一外科の恒川謙吾教授は、経絡(いわゆるツボ)の研究をされており、教室には鍼灸師もおられました。もともと経絡に興味のあった私は第一外科に入局したのです。
第一外科では血管外科グループに入りました。血管外科とは、動脈硬化のため下肢に充分血液がいかなくなる患者さんへの治療を行う科です。
ここで思った。動脈硬化で詰まった血管の治療も大事かもしれない、でも「動脈硬化を予防することがもっと大事ではないか」と。
そこで私は「働く人の健康管理をし、動脈硬化を予防しよう。」と産業医という道を選択しました。日々多くの方のからだを診断しているうちに、新たな壁が見えてきました。
「血糖値が高いことは、動脈硬化をおこしてしまう。動脈硬化予防には、糖尿病対策が避けて通れない。」
2000年に介護保険制度が始まり、私は介護保険の認定審査委員になることになりました。そこで見えてきたのは、
人が介護が必要になるきっかけは、大きく3つあること。
- 認知症
- 骨折(特に大腿骨頚部骨折)
- 脳卒中
これらは糖尿病患者さんに高率に起こりやすく、
「糖尿病治療は、日本のADL(寝起きや移動,トイレや入浴,食事,着替えといった,日常生活に必要な最低限の動作のことで,高齢化や障害の程度をはかる指標)を上昇させるかもしれない。」ということです。
2009年、糖尿病治療・対策に接し、様々な方が元気に暮らしていけることを目指し、当クリニックを開院しました。
今のところ、脳卒中は糖尿病コントロールで減らすことができるかもしれませんが、認知症・骨折の危険性を低下させることができるエビデンス(確たる証拠)はありません。
十分な血糖コントロールができるように、患者さんと共に闘う日々です。
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